ハチドリのとまる場所。

大好きな本のこととか日々の考えなど、あれこれ。

本と酒と僕。

先日、深川の「しまぶっく」さんでリトルプレス『本と酒と俺』を買った。山田稔さんの本を持ってレジに立った時に見つけ、衝動的に手に取った。でも、本も酒も好きな僕にとっては衝動買いというよりは必然的な買い物だったといえる。2010年10月発行とあるので、知っている人なら「今ごろ?」と思うのかもしれないけど…。
この本の編集をしている「俺」こと田中都麦(⇨ブログ情報 - 本と酒と俺)さんは、14歳から酒を呑みはじめ、高校時代は二日酔いで保健室にしけこんでいたという強者。しかし、本当に驚いたのはそんなエピソードではなく、田中さんには夫がいて14歳の娘までいるという、れっきとしたバリバリの「主婦」だったってことだ。えっ?「俺」って女なの…?それを知ってさらにこのリトルプレスが好きになっていくボク。。。



気になるナカミはというと、タイトルどおり「酒と本」にまみれている。百鬼園先生の阿房列車のように、横浜から熊本まで酒を呑みつつクダラナイ旅をするという試みがあり、ルールは降りた駅などポイントポイントで毎回ちがう銘柄のワンカップを買うというシバリ系。二日間で20頁程度の企画なのだけれど、予想通りグダグダのクダラナイ道中。付き合わされた家族が気の毒に思えてくる…のだけれど、これがくだらな過ぎてとにかく面白い。ところがそうかと思うとシットリとした素敵なエッセイなどが挟まれていて酒も俺も愛おしくなる。太宰治の小説「津軽」から引用された酒の肴についての文章などを読むと、無性にそれで一杯やりたくなってくる。「本を読みながら酒を呑むか? おすすめの酒本はあるか?」などのアンケート結果も興味深くて、読みたくなる、呑みたくなる本がたくさん紹介されている。また、『酒からだけの視点で「1Q84」を読む』などというのもあって、酒呑み特有の屈折した読み方がまた笑える(ここは笑っていいのかな?)。こんな素敵な本なら、可能であれば3月のイベントで並べさせていただきたい…と思ったが、問い合わせてみると「在庫がなくなってしまった」とのこと。でも、僕の買った「しまぶっく」さんにはまだ数冊の在庫があったはず。もしまだ買っていなくて欲しい人がいれば、お早めに!田中さんのtweetを読むと、なんだかとっても大変そうなのだが、ぜひ2号を出してほしい。応援したい。


しかし、酒と本との相性というのはいいのか悪いのかよく分からない。いずれにしても僕は本を身近に置いておきたい人なので、酔っ払ってヘロヘロになっていても数冊は隣に置いている。読むとか読まないとかは関係なしに。ただ、酒の肴に向いている本というものがもしあるのだとすれば、写真集や画集などの視覚に訴えるようなものや、短めのもの、軽い小説やエッセイあたりなのではないだろうか。どのくらい呑むのかにもよるのだろうけれど。僕は毎晩欠かさずに酒を呑むのだけれど、文字が追えなくなるということはあまりない。だから比較的なんでも肴本にしてしまう。呑みながら読む本としては、「古本関係のエッセイなど書物全般に関する本」を選ぶことが多い。この手の本は何度読んでも飽きることがないし、別に筋を気にする必要もないから気が楽だ。出久根達郎さん、山本善行さん、岡崎武志さん、荻原魚雷さんたちの本については、最高の肴であり開けば酒の匂いがしてきそうなほどなのである。まあ、酒に合うとか合わないとかというよりは、酒を呑みながら読んでも許してくれそうな「本好きのための本」ってことなのかもしれない。


ん〜すでに酩酊状態で書いているこの日記、そろそろしんどくなってきた。ぼちぼち蒲団に潜り込もうかと思うのだけれど、さて今晩はなにを読むとしようか…。