掌。
子どもの掌をみていると、とても幸せな気持ちになる。
ぎゅうっとつかむ 小さな掌。
めいっぱいの掌。
まだ ぼくの半分もない小さな掌。
だけどその小さな掌には、大きな可能性をつかむ力がある。
まいにち まいにち 小さな掌でたくさんの発見をつかむ。
今ここに生きていることを確認するように、しっかりとつかむ。
発見をつかんだその掌を、ぼくの大きな掌が包みこむ。
しっかり生きているねと、まるごと包む。
はじめて出逢ったあの日にも、ぼくの掌の中にあった小さな掌。
大きな掌の中にある小さな掌は、小さくゆっくりと呼吸をしている。
小さな掌に顔を寄せてみる。
なんだか懐かしい匂いがする。
あたたかさと あたらしさと めいっぱいの匂い。
それと少しのミルクの匂い。
いつかその小さな掌が、ぼくの掌にあまるときがくるのだろう。
そのときは つなごうか。
それも いつまでかな…。
しわしわになった掌を、いつか包んでくれるのかな…。
子どもの掌をみていると、とても幸せな気持ちになる。