おばちゃんのこと。
近所にある古本屋のおばちゃんと、ぼくはよく話をする。
子どものこと、お客さんのこと、古本のこと、古本屋のことなどについてグダグダと話す。
おばちゃんのところは古書組合に入っていないので、客買いだけで仕入れてゴシゴシと頑張る。
あまり代わり映えのしない棚…かと思えば、びっくり価格ですごい本が棚にささっていたりする。
大好きな古本屋さん。
うちの子が本をいじっても、嫌な顔一つせず、文句一つ言わない。
それどころか、子どもに必ず一冊プレゼントしてくれる。
うちの子は「ありがとう」と照れながら、いつものあいさつ。
「いいよ。また来てね」と、おばちゃんは微笑みながら応える。
いつだってピカピカの笑顔で迎えてくれる、キレイなおばちゃん。
でも、そんなおばちゃんも時たまコワイ顔になる。
「ねえ、古本が好きだからって古本屋にだけはなるなよ」
それを言う時だけは、いつだってコワイ顔になる。
だからぼくも「なんで?」とは絶対に言わない。
「なるわけないよ」と笑って返すようにしている。
まあ、なるわけないこともないのだけれど…たぶん、ならないだろうね。
たぶん…。
今日もそんなやり取りをしながら、愛すべき古本を買った。
おばちゃんから、買った。