避けたい話。
またまたちょっとお堅いはなし。
この国では、死を語ることは不吉なことと忌み嫌われ、禁句とされがちであった。
特に介護の現場やお年寄りとの会話では尚更である。ひょっとしたら、もうすでにこの文章そのものが忌避されているかもしれない。
それでも敢えて書くのは、死に対する社会の様相が大きく変わりつつあることもそうだし、介護福祉従事者にとって(延いては介護施設で暮らす方にとって)一番大切な支援の根幹となるのが「死」だと考えているからなのだ。
介護という仕事に携わるものにとって、支援の対象者に「よい人生だった」と感じてもらえるかどうかは実に大きな問題である。介護のプロとして、逆説的に最期(死)から介護を捉えることで、今その人にとって何が必要で何をすべきなのかが見えてくる。つまり、「より良い最期」とは「より良い今」の連続とその結果であり、唯一無二の支援指針となるのである。
できれば避けたい話題かもしれない。しかし、元気な時にこそ最期をどのように迎えたいのか表明し(または後見人が慮り)、家族や信頼できる周囲の人と十分に話し合っておいてほしいと、声を大にして言いたい。
人生という大きな舞台で、最期まで主役として満足と納得のいく生を送るための(または送ってもらうための)チャンスは、実は今なのかもしれない…。