ハチドリのとまる場所。

大好きな本のこととか日々の考えなど、あれこれ。

あいおい文庫と街と人。

去る7月16日、「親子の絆は絵本から」と銘打って、地域の方たちとの交流・参加型イベントを催した。

これまでにも地域の方たちを招いてのイベントを定期的に計画してきたが、本当の意味で地域との「一体感」を感じられるようなイベントはこれがはじめてであったように思う。それは福祉とか施設とか、そういった記号的な垣根を越えてもっとシンプルに「楽しみたい」「楽しませたい」という気持ちが前面に立っていたからなのかもしれない。そしてなによりも、佃や月島にお住まいのご近所ママさんたちが中心となってイベントを手がけてくれたことがとっても大きかった。いや、ママさんたちなしではとても成しえなかっただろう。ママさんたちの目線、ネットワーク、チームワークといったチカラに心から感服してしまった。この場を借りて、もう一度お礼申し上げます。本当にありがとうございました。

あいおい文庫の活動について、「コミュニティーづくりの一環」などといわれることがあるのだけれど、確かにそれに近い発想がぼくの中にはある。コミュニティーという言葉を遣うと、なにか行政っぽい胡散臭さが漂ってしまうのだけれど、誰でも気軽に安心して集まれる「場所」というのが「まち」の中には絶対必要だとぼくは思っている。

あの3.11大震災のときにも、「あいおい」に避難場所として宿泊された方たちが10名ほどいた。自宅で寝るのが怖いのでここ(あいおい文庫内)に泊めてほしいと。他にも、待ち合わせ、散歩の休憩、図書室、ランチなど、様々な場所として「あいおい」は使われている。ここから出逢いが生まれ、交流がはじまり、親交が深まり、別のカタチでまた何かが生まれる…こんなに嬉しいことはないなと、その光景を目にする度にいつも思う。顔晴った甲斐があるなと思う。感謝のキモチで一杯になる。やっと「場所」になってきたなと。

前にも書いたのだけれど、ぼくは「利害をともにする共同社会とか共同体づくりをここから発信」なんて全然思っていない。ぼんくらの思考能力では、せいぜい「楽しい時間の生まれる場所をつくりたい」というのが精一杯だ。そういった意味では、牛歩ではあるが一歩一歩確実に前進しているという実感がある。まだまだ発展途上ではあるが、これまでにはなかった安心と楽しさを併せ持つ「場所づくり」を目指して、これからも地道な活動を続けていきたいと思う。