ハチドリのとまる場所。

大好きな本のこととか日々の考えなど、あれこれ。

チマチマ人生。

書く手が進まない。いや、読むことも、聴くことも、きびきびと仕事をするためのココロのスペースにゆとりがないため、思うように進めることができない。
うまくいえないが、歯車の合わない時というのは、兎角とことん合わない。
合わないものだから合わせようと四苦八苦するのでヘトヘトになる。
投げ出したくもなるのだけれど、とりあえず前に進まねばならぬため投げ出すこともできず、結句もがき続けることになる。
泣きたくなるやら逃げ出したくなるやらでフラフラの千鳥足になっていても、気がつけばいつのまにやら何事もなかったような毎日が訪れている。
この数日間はいったいなんだったんだろう…などとチマチマ考えている今日この頃である。


たかだか40年弱の人生であっても、生きているとそれだけでこのようなことが繰り返される。振り返ってみれば面白い。思い出しつつ日記にしたためたり、差し障りのない話であればこのようにブログにも書いてみる。さらに後からそのようにして書いた自分のための轍を辿っていると、その時の自分の心もちが手に取るように分かって懐かしい。


このような感覚に近いところでいつも楽しませてもらっているのが、荻原魚雷さんの書いたものである。自分がどんな状態にある時も、魚雷さんの書いたものだけは抵抗なく沁み込む。楽に読めて、深く沁み入って、引きずらない。とにかく魚雷さんの書いたものが大好きで、本は身近なところにいつも置いているし、電車の中ではブログをよく読んでいる。

活字と自活

活字と自活

どの著作もよく手に取るのだけれど、中でも一番よく読んでいるのは、『借家と古本(スムース文庫)』だろうか。『古本暮らし(晶文社)』や『活字と自活(本の雑誌社)』ももちろん大好きなのだけれど、「借家と古本」は当時の一生懸命な感じがいい。魚雷さん独特の脱力感のある文章の中に見え隠れする、グッと力の入った感じというか、そんな瑞々しい感じに励まされる。ここに書かれた魚雷さんが好きだという作家さんをぼくも大好きで、魚雷さんの書くその作家さんを愛おしむ文章がまた堪らなく好きなのである。作家の書く等身大のチマチマしたところに着眼し、引いて共感し、勇気をもらい、自分もチマチマと生きていく…ぼく自身の中にもある抗い難い魂。その生き方に憧れ、大きく共感できる反面、矛盾するが真逆なキモチも多分にある。それが冒頭で書いた感情に直結しているのかもしれない。でも、そんなこんなと考えている、自分のそんなチマチマ具合がスコブル気持ちよかったりもする。チマチマ人生バンザイ!


《一冊の古本買うために二十冊くらい本を売るという生活が続いている。その分、部屋が広くなってさっぱりする。ただ、本棚の隙間を見ると、この先どうなるのかと考えてしまい、気が滅入ってしょうがない。 (「尾崎一雄のいろいろ」/借家と古本)》


これって、どうだろう…魚雷さん、最高です。

古本暮らし

古本暮らし