ハチドリのとまる場所。

大好きな本のこととか日々の考えなど、あれこれ。

福原希己江さんのこと。

先日、うたうたいの福原希己江さんにお会いした。
いつも思うのだけれど、音楽や絵(写真)でコトバを発する人たちは、実際に会って話をすると、その人の中にその人の音楽や絵を見つけることができる。これは作品ありきでお会いするからであって、本当は音楽や絵の中にその人を見つけることができる、ということなのかもしれない。
ぼくが福原さんのうたからイメージしたのは、流体。
どんなカタチのココロにも、たぶんすーっと入っていってしまうような流体。


そうっと聴くとそうっと効く福原さん。
お会いしている間も、そんなそうっとした時間が流れた。

こんな日が
くるように 幸せをねがう
あんな日が
二度と こないように
ねがいをこめて うたう
≪「詞(うた)」/『おいしいうた』福原希己江(TownTone)≫


「詞(し)」は詞だけではちょっと頼りない。でも、うたうたいによって詞が「詞(うた)」になると、たちまち心づよい。ぴったりとすぐそばで望むとおりにいてくれる。
繭から糸をていねいに繰るような福原さんの声にのって、うたはゆらゆらとたゆたう。


たとえば、身をまかせて生活の波間をたゆたう。
たとえば、どうぞお上がりくださいな。
たとえば、じっくりとおいしくいただく。
福原さんのうたを聴くと、そんなふうに心をなでられる。


うたごえに身をまかせて生活の波間をたゆたうとき、しいんとして真っ白くなる。うたが終わってふと気がつくと、世界がカラーであったことにあらためて気づく。


うたに身をまかせようと思ったところまでは憶えている。気がついたら、もうぼくの中を通りぬけたあとだった。いつでもご自由に、どうぞお上がりくださいな。


『おいしいうた』には、おいしそうな曲がはんぶんくらい入っている。おいしいうたばかりの中に、おいしそうなうたがはんぶんくらい。じゅわっと「からあげ」、ほわっと「あさりの酒蒸し」、がつがつ「青椒肉絲(チンジャオロース)」、ほくほく「肉じゃが」、はふはふ「たいやき」、どれもぼくの好物ばかり。じっくりとおいしくいただく。


流体が身体にしみていく。


ぼくは好きになると、けっこう好きになってしまう。
だけど福原さんのうたは、好きになるずっと前から好きだったような気がする。


3.25『あいおい古本まつり』で、福原さんのライブをやっちゃいます!
ドラマ「深夜食堂2」の挿入歌をうたい、大きな話題を呼んだ福原さん。
しっくりあたたかい歌心を届けます。
東京発フォークロックバンド「Your Last Chicken」のcayskeさんもバイオリンとギターで参加が決定。これは必聴です!
3月25日(日)16:00〜17:00 @1Fあいおい文庫
参加費:予約500円・当日700円

詳細・予約はコチラ⇒ http://aioibooklabo.com/event_fukuhara.html


おいしいうた

おいしいうた

【福原希己江 プロフィール】
1979年、羽田に生まれる。幼少の頃から歌が好きで、自宅で人知れず歌う日々を過ごす。
さらに映画、舞台への好きが高じ、 2001年に深川栄洋監督の初期作品に出演。(私が幸せになるということ/第3話「だってだって・・・だってだってだってなんだもん」)
それがきっかけとなり、本格的に音楽の世界へ没頭することを決心。
2002年ごろより、自分で曲が書けるということに気付き、作詞作曲を開始。
カバー曲を織り交ぜながら、表現として、人前で歌を歌い始める。初ライブは四ツ谷天窓。
その後、ユニットやバンドの中でも、ロック、ポップス、アシッドフォーク、ジャズなどを多数歌っていく。
2009年、本格的にソロでギター弾き語りをはじめ、毎月第4土曜日に西新橋の喫茶店「草枕」にて定期的に出演、ボサノヴァ、シャンソン、自作曲などを演奏している。
いろんな場所でちょこちょこと演奏する日々を過ごしていたある日、友人(不動産屋さん兼、旅人兼、敏腕サポーターの山田みきさん)のお誘いで、とあるパーティーで歌うきっかけをいただく、その席で松岡錠司監督(映画:バタアシ金魚、東京タワーの監督さん)に出会う。その出会いから、およそ1年半後の月日を経て、「深夜食堂2」の挿入歌として音楽を使っていただけることになり、現在に至る。

福原希己江(ふくはらきみえ) -オフィシャルサイト- / Kimie Fukuhara -Official Website-