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ハチドリのとまる場所。

大好きな本のこととか日々の考えなど、あれこれ。

ヒグラシ文庫にて。

はやま一箱古本市の実行委員で打ち合わせ、というか呑み会。どこがいいかねえ、という連絡に即答で「鎌倉のヒグラシ文庫さん」と返した。

葉山がきっかけではあるけれど、あまりそこだけにこだわらず、地元の湘南でブックイベントをやりたいよね、という同志でグダグダと集まりはじめた。
まず、仕事でやるんじゃないっていうのがいい。愛すべき地元でやれるっていうのがいい。そして何より、みんな酒が好きってところがいい。
湘南にはけっこう文学ゆかりの地は多い。ぼくの住んでいる横須賀でいえば、内田百、山口瞳庄野潤三なんかがパッと浮かぶ。ブックイベントで生まれ故郷が賑わうんだったらもう死んでもいい…とまでは云わないけれど、たぶんそのくらいしあわせなキモチになれると思う。まあ、そんな話をするのにうってつけの場所はどこかと考えたときに3秒で思い浮かんだのがヒグラシ文庫さんだったわけ。



ヒグラシ文庫さんはせまい。立ち飲み屋なので椅子もないし、10人も入ればぎゅうぎゅうだ。
だけど書棚がある。本酒場なので、せまい店には書棚が2箇所きちんとあって、古本Tさんや港の人さんの本などがセンスよく並べられている。
人のお店に「せまい、せまい」と失礼だけれど、牧野さんの描いた看板にも「店はせまい。でも遠くへつながっている」と書かれているのだから云ってもいいのだろう。だって、たしかにここはどこか遠くにつながっていて、一杯やって帰る頃にはあたらしい風が身体を吹きぬけている。とにかく楽しい出逢いのある居心地のよい場所。


店主の中原さんがシブくていい。顔がいい。声もいい。食い物がうまい。なにを食ってもうまかったし、生中の注ぎ方がいい。レモンサワーもうまい。
そんなこんなで、どのくらいいたのかなあ。すっかり饒舌になるくらいは呑んで、ぼちぼち座りたいねってくらいはいたはず。中原さんと本やその周辺の話もしたような気がする。けど忘れた。それにちょっと残念だったのは、買って帰ろうと思っていた本があったのに、酔っぱらってすっかり忘れてしまったということ。記憶はなくとも悔しさだけはじんじん残った。まあ、近いのでまたちょくちょく通って、次こそは本も買いたい。あと、中原さんの私邸「逗子ヒグラシ文庫」のイベントってやつにも行ってみたいし。
このあとハシゴして、横須賀にもどってまた呑んだ。そのあとのことは、やっぱりよく憶えていない…


最後に、ぜんぜん関係ないのだけれど、鎌倉つながりで吉野秀雄をひさしぶりに読みたくなって再読した。これがまたとっても沁みて、ここのところ少しくさくさして立ち止まっていたキモチが明日に向かえた。
「やはらかき心をもちてまぬがれぬ一事を待つといふもよしなし」

あるがままに生きよう、そんなふうに思えた一日だった。