ハチドリのとまる場所。

大好きな本のこととか日々の考えなど、あれこれ。

iPadで古川緑波を読む。

一週間に一回以上は更新したいと思っているのだけれど、さして忙しいわけでもないのにバタバタしており、はたまたキモチがのってこなかったりで、ここのところブログの更新ができていない。ブログだけでなく、本と酒と家族のこと以外にあまりキモチが入らない。なんだかんだと考えたり動いたりしているうちに、つまらない思惟などどうでもよくなってしまう。そうこうしているうちに、ずいぶんと長い間しんどい思いをしていたことなどが、霧が晴れるようにスッキリした。ここ最近のぼくはずいぶんとスッキリしている。余計なことに関心がいかない分、スッキリと好きな本をグングン読んでいる。本だけでなく、iPadで電子書籍なんかも読んでいる。
青空文庫からダウンロードして、古川緑波をまとめて一気に読んだ。古川緑波をiPadで読めるというのは、なんだかとっても仕合わせなことのような気がする。時代なんだなぁ…なんて、しみじみ思う。電子書籍が良いとか悪いとか、そんな話をついこの間までしていたのなんて、もうすでに遠い昔のことのような気がする。家にはチョコレートの匂いのする古本が山のようにあって、そのすぐ横には近所の本屋さんで買ってきた真新しい紙とインクの匂いのする新刊本が所狭しと積み上げられていて、そんな本に囲まれた仕合わせ空間の中で、ぼくはiPadをタップしたりスワイプしたりしながら古川緑波を読んでいるのだ。なんて素晴らしいことだろう。なんの矛盾もない。そういう時代に生まれてこられたことに感謝。
電子書籍が紙の本に取って代わって読書人を全面的に喜ばすということは出来ないと思うけれど、読みたくても読めなかったものを読むチャンス、学びたいことを学ぶためのチャンスは確実に広がるのだろうし、それはやっぱり読書人の喜びであったりもする。淘汰されていくものと残り続けるもの、いつだって切磋琢磨して時代は未来へと流れている。その流れと共に失われていった古きよきものも沢山あるけれど、残念がってばかりもいられない。
前を向いて歩いていくことしかまだ知らない、うちの三人の子どもたちが残念な思いをしないように、ぼくは今日もiPadで古川緑波を読むのである。