仙台行き。
風邪をひいたところから持病の喘息が目を覚まし、ほとんど眠れないような日が何日か続いた。ただでさえ辛いのに、よりによってそのタイミングで仙台へ出張。ずっと楽しみにしていて、フリーの日を二日間作ってあれこれと計画していたのに、結局なにもできないまま仕事だけして帰ってきた。近いうちに家族旅行で無念を晴らしたいとおもっている。
仕事で行ったのは仙台駅からほど近いところ。この辺りはものすごく栄えていて、震災の爪痕はほとんど感じられない。活気があって、ほっとする。もちろん表面だけでは見えてこない部分での大変さや、この一年間の辛抱や努力などを考えれば簡単に言ってはいけないことなのだけれど、うっかりすると「あの日」を忘れてしまいそうなくらいに平穏な雰囲気が市街地に満ち溢れていた。そんな話を現地の仲間としながら車で沿岸部に向かった。15分くらい走っただろうか。いつ崩れてもおかしくない空模様だったのだけれど、急に辺りが暗くなり、地平線と水平線がくっきりと見え、見渡す限りの周囲になにもなくなった。あるのは家の基礎と瓦礫ばかり。急に言葉も失った。
この身体を実際にそこへ置き、目で見て、耳で聴いて、匂いを嗅ぎ、この頭と心のできるだけ深いところへ焼きつける。そして、もう一度あらためて言葉を取り込む。いろんな葛藤をしながら、もう一度ていねいに考えてみる。もう一度、もう一度、もう一度、もう一度……
3.11 慟哭の記録―71人が体感した大津波・原発・巨大地震
- 作者: 金菱清
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2012/02/23
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 25回
- この商品を含むブログ (4件) を見る