ハチドリのとまる場所。

大好きな本のこととか日々の考えなど、あれこれ。

セルフコントロール。

今年の正月は、ひたすらダラケた。まあ、毎年といえば毎年なのだけれど、朝から呑んで、食べて、映画をみて、本を読んで、音楽を聴いた。子どもたちは犬のように外を駆け回り、ぼくと連れ合いは猫のようにコタツでまるくなっていた。


正月の読書は、スポーツに関するものがメインとなった。虫明亜呂無のエッセイとスポーツ論集をパラパラ読み、H・Aドルフマンとカール・キュールの共著『野球のメンタルトレーニング』(1993年 大修館書店)を熟読した。この『野球のメンタルトレーニング』という本は、自分を磨いて心を育て(鍛え)たいとおもっているひとであれば、きっと野球人以外の誰にとっても役に立つとおもう。


どんなことでもそうだとおもうのだけれど、セルフコントロールさえうまくいけば、能力に見合ったそれなりの位置にまで自分を高めていくことができる。仕事だって、スポーツだって、恋愛だって、ダイエットだって、おもった方向へ進もうとするのを邪魔してくれるのはいつだって自分自身だ。それができれば苦労はないよ、というのがセルフコントロールの常だけれど、自然的記号と人為的記号をごちゃまぜにしたような自己啓発本が売れまくっているところをみると、多くのひとが難しいと感じながらもどうにかなりたいとおもっているのだろう。


その点でこの本は大いに役に立つとおもう。その点、を克服するためのそれをここに細かく書きだしたらキリがないので書かないけれど、おおまかにいうと、想像力、集中力、自信などを計画的に高めていくためのトレーニングが実例をもとにわかりやすく記されている。生きるヒント、なんてタイトルの本があったけれど、まさにこの本は生きるヒントにほかならない。そもそも自分をコントロールしながら目標へ向かって進むということ自体が、一球を捉える、野球というメンタルのスポーツによく似ているとおもう。


この本は普通に読み物としてもおもしろい。野球好きならメジャーで活躍した往年の名選手たちの知られざるエピソードに心躍らせるだろうし、小難しい理論的説明だけを淡々と読み続けるしんどさなど微塵も感じずに楽しめる。一つひとつのプレーの裏に見え隠れするメンタルの働きを知ることで、プレーヤーとしてだけでなく、野球観戦をすることだって楽しくなる。さむい冬を越えるとWBC(ワールドベースボールクラシック)の本戦がはじまる。プロ野球も開幕するし、春のセンバツだってある。どれも今から楽しみで待ちきれないのだけれど、それよりもなによりもはやく草野球を楽しみたい。


さあ、みんなで球場へ行こう。

野球のメンタルトレーニング

野球のメンタルトレーニング