心の鍛え方。
たいてい週末は家族と一緒に近所のスーパーマーケットへ行く。ここには大きめの書店が入っているので、買い物の前か後にはそこで本を立ち読みすることが多い、というかそのために行くようなところもある。今日もそこで気になる本を見つけ、しばし時間を忘れて立ち読みに耽った。
《羽生善治という存在を中心として、佐藤康光・森内俊之の追いかけ、追いつきそして並走し、また抜きつ抜かれつの、長い戦いの中で見せる棋士の弱さや脆さを、みんなが鍛錬の中で身につけた全人的強さで克服していく過程こそが、私が長年圧巻の思いで見続けている物語なのである。》(島朗 著『島研ノート 心の鍛え方』2013年 講談社)
上に引いたのは、将棋棋士で初代竜王、伝説の将棋研究会「島研」主催者である島朗さんの著書からの一文。まえがきを立ち読みしたところで、すぐに心をもっていかれレジへ走った。まだ三分の一ほどしか読んでいないのだけれど、これはとてもすごい本だとおもう。第一章を読むだけでも、将棋だけでなく生活や仕事のなかに活きるであろう10のヒントを得ることができる。ぼくはそれほど将棋が好きだというわけではないし、時間つぶしにiPadで指したり、ネットで観戦したりする程度なのだけれど、それでもグングンのめり込むようにして読めてしまう。王道の棋士たちが自分の弱さを克服していく過程の物語、すでに今年一番っぽい感触がある。
自分自身のことでいうと、たとえば人見知りであるとか、本番に弱いであるとか、目前の好機会をものにできないであるとか、心の作用によって自らを不自由にし、フイにしてしまうその根本には、共通した弱さとか脆さみたいなものがあるとおもう。それは人からどんなふうに見られているのか、どんなふうにおもわれているのか、失敗したり負けたりすることでなにかを失うのをこわがっている、ということなのかもしれない。なぜそんなにこわがらなくてはならないのだろう。まだ読んでいる途中だけれど、それが自分のことを正しく知ろうと努力せずにいること、自分にとって一番の味方になってあげられていない自分がいること、なんとなくそのあたりに関係があるような気がする。レベルも土俵も違えど、やはりヒントはここにありそうだ。
さて、じっくり考えながら、ゆっくり読み進めることにしよう。
- 作者: 島朗
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/03/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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