ハチドリのとまる場所。

大好きな本のこととか日々の考えなど、あれこれ。

東京ベンチと今のこと。

 いまさらな話になってしまうけれど、東京ベンチの閉店について少し書いておきたいとおもう。お会いした方や身近な人には話してきたのだけれど、それをどこでどう伝えるべきなのかよくわからなかったし、その勇気もなかったので等閑になっていたから。でも、少なくとも、今、ここにはそれを書いておくべきだろうとおもう。

 細かい事情については公にするようなことでもないので書かないけれど、閉店に至った一番の大きなその理由は、「今、必要とされてはいない場所だった」ということになるのだろう。

 東京ベンチというのは、昨年の7月にオープンしたお年寄りのデイサービスとコミュニティカフェを融合させたサードプレイスのこと。諸事情によりたった3ヶ月のあいだしか運営できなかったのだけれど、失望し、失望させ、失敗という圧力に押しつぶされそうになりながらも、ここでは本当に多くのことを学んだ。経営的なこと、介護保険業界の現実、目の前で本当にサービスを必要としている人の事情、人とのつながり、今やるべきことなど。

 失敗は成功の素とよくいうけれど、失敗ばかりのぼくの人生に、はたして成功があるのかどうか、よくわからない。わからないけれど、過去を振り返っていつまでも後悔していたって何も始まらないので、反省を生かしながら前を向いて進むしかないとおもっている。かといって、これまでのように取り越し苦労をしながら先のことばかり考えていても暗くなるだけだ。だから、最近は「今を生きる」しかないなとおもうようになった。けっきょくのところ、今が見えていなければ先もない、これも今更ながら、やっとそのことに気づいた。

 いつも同じことばかり書いてしまうけれど、とにかく考えるということが何よりも大切で、考えすぎということはないのかもしれない。もちろん、悪いほうへばかり考えてしまうのはよくないけれど、今を考えるための材料を懸命に探したり読んだりしながら、それを元に深く考えつづけるという作業だけが、じぶんを前に進めてくれるのだとおもう。

 東京ベンチのことは本当に残念だったけれど、今を生きながらしっかりと考えて、必要としてくれる人のためのベンチを、じぶんにとってもかけがえのないベンチを、もういちど改めてはじめたい。たとえカタチは変わっても。

 そのための「今」はもうはじまっている。

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