ハチドリのとまる場所。

大好きな本のこととか日々の考えなど、あれこれ。

2012-01-01から1年間の記事一覧

成長。

年の瀬の雰囲気をなんとなく感じはじめたかとおもえば、あと一日で今年ももう終わりだそうです。気がつけば、あっというまの一年でした。 今年もたくさんの仲間たちに支えられて元気をいただき、たくさんの本たちから知恵と勇気をもらい、お蔭様でなんとかぼ…

冬と本の科学反応。

ついこのあいだ買ったばかりの、「冬」と「本」という二つのキーワードからなるアンソロジー『冬の本』(2012年 夏葉社)が想像以上によかった。一度読み終えてからも身近なところに置き、パラパラと頁をめくっては無作為にひらいたところを再読している。お…

想像力について。

ここのところ、想像する、ということについてよく考える。 小さい頃、あれこれ想像してみることが大好きで、ひとり想像の世界に遊んでいた。想像することは自由だし、その世界における可能性は無限大にある。現実と可能性が世界の内にあるのか外にあるのかな…

旅のツヅキ。

京都のdecoさんから、『DECO・CHAT vol.2 旅のツヅキ』(2012年 deco社)が届いた。本と旅を愛するひとのためのリトルプレス。 届いたフウトウはすぐに開けずに両手で持って、中に入っている本を思い描き、まずはドキドキに身をゆだねる。そのままフウトウに…

志賀直哉と一疋の蜂。

仕事の関係で、死をテーマにした話を人前ですることがある。 つい先ごろにもそんな話をする機会があって、その参考資料として志賀直哉の「城の崎にて」の一部を引用した。正宗白鳥や高見順の書いたものにもとてもいい一節があるのだけれど、ぼくにとって死を…

本の皮むき。

ついこのあいだの話。 皮むいてから読むの、といって娘は本のカバーを次々に外し、片っぱしから本をまるはだかにする。購入した本の表紙に書店がかけてくれるカバーのことを書皮と呼ぶのだから、皮をむくという表現もあながち間違いではないのだろうけれど、…

古本と金沢。

一泊二日の出張で、金沢に行ってきた。前日入りしての旅なので、夕方からの吞み会までたっぷり半日はフリーな時間がある。せっかく金沢に行くなら、これはあそこに行くしかない。金沢といえば、あそこ。一人ひそやかに笑いながら、旅のおとも本をえらぶ。さ…

夢の共演。

年末が近づくと、「夢の共演」と銘打ったテレビ番組が多くなる、ような気がする。其処彼処に転がっているような共演ではなく、夢の共演。普段はあまりテレビを見ないぼくでさえも、夢の共演という言葉には胸が躍る。ぜったいに見たいし、ぜったいに聴きたい…

冬がキライなわけ。

冬はキライだ。ろくなことがない。 読書の秋とか食欲の秋とかいうけれど、秋から冬にかわったばかりのこの時期も、まだまだ身体は書物と食物を欲している。読んでも、読んでも、読みたりない。がしがし読んでも読みたりない。ちゃんと食べているのに、ちゃん…

オリーヴ・キタリッジの生活。

なんどいっても子どもがおもちゃを片付けずイライラする。チームワークを無視し続ける仲間に失望する。何食わぬ顔で割り込み乗車をする中年女。ちいさなつまずき、些細な言動、たっぷり寝たはずなのに疲れがとれない。そんなときに子どもがくれる、「パパす…

島へ免許を取りに行く。

ぼくは彼女のことを、心の中でこっそり「視角のひと」と呼んでいる。 その卓越した視角に烈しく身を焦がし、ときに烈しく嫉妬する。キモチを切り替えたいときや、迷子になりそうなとき、ぼくは彼女の烈しい視角を頼りに自分を取り戻そうとしている。 視角の…

井伏鱒二の鯉。

なんだかしらないけれど、ちょくちょく微熱がでてしんどい。 むりをしているわけでもないし、睡眠時間もたっぷりとっている。それなのに、やっとよくなったかとおもうとまた微熱がでる。こういう季節の変わり目というのは、なかなかキモチとカラダが伴ってこ…

荒地の恋。

「荒地の恋/ねじめ正一 著(2007年 文藝春秋)」という、詩人の評伝のような味わいのフシギな小説を読んだ。中央公論文芸賞を受賞しているこの作品、文学好きなひとの間でも当時からずいぶんと話題になっていた。買いそびれたまま数年が過ぎ、2年くらい前…

吉行淳之介と喉仏。

仕事柄、ひとの死に目、つまりは生と死の境目に会うことが多い。 ベッドに横たわる老人の傍らに立ち、目を瞑ったまま不規則な呼吸をくり返すその姿を、ただ見つめる。微かにうごく喉仏と、ほんの僅かに上下する布団を、ただ見つめる。 《文字どおり骨と皮だ…

切断力。

仕事にしても遊びにしても、グループで一つことをするというのはムズカシイ。みんなで同じ一つの方向にむかってすすんでいるつもりでも、目指すカタチやそれぞれのオモワクが違っていたりすると、グループは惰性的で緩慢な流れになるか、歯車のズレた険悪な…

コロッケ。

なにもない道 とぼとぼ歩いていたら なんでもいいから買いたくなって ちかくの肉屋でコロッケをひとつ またとぼとぼ歩きながら コロッケの入った袋を鼻に寄せる うん、肉屋のコロッケの匂い そんなに食べたいわけじゃなかったけれど せっかくなので、がぶり…

藤枝静男のひたむきさ。

連れ合いが少し体調を崩したので、手間のかかる料理をのんびりと作りながら、藤枝静男の随筆をいくつか読んで静かに暮らした。 《私はその日に買った道具屋で気に入った朝鮮民画の花鳥を持ってたずねた。「つまらないね」といわれるかも知れないが、しかし案…

つきあい。

まいにち本を読んで暮らしていると、読了後のよろこびよりも、たった一行に出合えたよろこびに舞い上がることのほうが多くなってくる。こうした、たった一行、たった一言のためだけに買ったのだとおもえるような文章(書き手)に出合えるというのは、そう度…

気乗り。

文章を書くのにも、本を読むのにも、ここのところなんとなく億劫で気が乗らない。およそどんなことをするにしてもそうなのだけれど、気乗りがしないと何事もはじまらない。だらだらと時間だけが過ぎていく。たとえ気乗りしないままやりはじめたとしても、た…

夏の終わりに。

幼いころから、自分のための誕生会がキライだった。終わったあとのぽっかりとした淋しさがどうしてもいやだった。さっきまで仕合せの絶頂にあったはずなのに、オジャマシマシタの呪文が唱えられるやいなや突如としてセカイの果てまで弾き飛ばされる。たえら…

眠れぬ夜に。

夜中に目が覚める。 寝返りを一つ打ってから、足もとに丸まっているタオルケットを鼻の先まで引き寄せる。何も考えないようにして、ぎゅっと目を閉じてみる。けれども、閉じた瞼にあれこれ映りこんでちっとも眠くならない。懐かしさや後悔、楽しさや淋しさが…

神輿を担ぐ。

心が折れそうになったとき、掛け声、笛の音、足音、鼓動に支えられた。 重みで腰が折れそうになると、心も折れそうになる。 汗と雨とかけられた水が、流れる涙に混じって滴り落ちる。 もうやめよう、なんどもそうおもった。 おもったはずなのに、笛の音が聞…

友人と猫と写真。

猫はあまり好きではない、どちらかといえば敬遠したい、ずっとそんなふうにおもっていた。うっかり化けて出られたらたまらないし、できるだけ遠巻きに暮らしたいと。幼い頃からそうおもっていたにもかかわらず、いつのまにか猫もわるくないなとおもうように…

ここんとこ読んだ本(二)。

ここんとこ読んだ本で、こころにおちた本シリーズ。 「無階級の人々」ジョージ・ギッシング 著(1998年 光陽社出版) 「阿佐ヶ谷日記」外村繁 著(1961年 新潮社) 「頭の洗濯」吉田健一 著(1960年 文藝春秋新社) 「こんな日もあるさ」上原隆 著(2012年 …

NUU(ぬぅ)のこと。

今から10年以上も前に、なんとなく入った町の小さなCDショップで、なんとなく手にとって買ったCDが、NUU(ぬぅ)の1stアルバム「うたうの」だった。そこからずっと好きになり、どのアルバムもみんな買うようになった。彼女のアルバムには、大切な…

オグラ&ジュンマキ堂 ライブ。

平成25年9月8日(日)13:00〜◆オグラ(インチキ手廻しオルガン) 1965年静岡県生まれ。高校生の時、ラジオで聴いた友部正人の歌に驚愕。 1985年より青ジャージ、1998年より800ランプのVoとしてバンド活動。 2002年より自作の「インチキ手廻しオルガ…

UWF 関東学生プロレス。

平成25年9月8日(日)14:00〜◆関東学生プロレス T.W.F.東海大学プロレス連合創設者アントニオ寺島を中心とし、U.W.F.関東学生プロレス連盟が発足したのである。 現在も多くの大学が加盟し、レスラー・マネージャー・関係者含め総勢約20名から成る、…

NUU ライブ2013。

平成25年9月8日(日)15:30〜◆NUU(ぬぅ) '98年4月早稲田大学在学中にデビュー。 シングル5枚、アルバム6枚、DVD2枚をリリース。 類いまれな唄声と温かな人柄でぐんぐんと観客を巻き込むNUUのライブは東京を中心に、沖縄、奄美大島等、全国各地で…

あいおい納涼市。

あいおい文庫の“夏”といえば、すっかり「あいおい古本まつり」と「あいおい納涼市」のイベント2本が定番となりました。この定番というのはうれしいもので、たまに会った人から「例のやつ、そろそろですね」なんて云われたりすると、なんだかんだでナントカ…

橋をかける。

少し前に書いたばかりの“でんでんむしのかなしみ”を巡って、ちょっとした偶然があったのでびっくりした。その少し前にも偶然の結びつきについて書いたばかりだったので、なんだかよけいに驚いてしまった。 あいおい文庫には、ひと月に何度かまとまって本が届…