ハチドリのとまる場所。

大好きな本のこととか日々の考えなど、あれこれ。

2012-01-01から1年間の記事一覧

でんでんむしのかなしみ。

ぼくは文学系の朗読CD(むかしはソノシートやカセットテープで聴いていたっけ)を聴くのが大好きで、うんと小さい頃からよく聴いている。昼間に聴くということはあまりなくて、たいていは深夜に枕元でかけたまま眠ってしまうことが多い。優しくゆったりと…

偶然の結びつき。

人がなにかを選ぶとき、その過程の中で“偶然”に出合ったり激しくぶっつかったりして、なにか目に見えない強引なチカラに巻き込まれるようにして決まってしまうことがある。たとえばアメリカの作家で詩人のポール・オースターの場合、おもわず口元が綻んでし…

せんせい流。

ここのところ気持ちがくさくさしていたので、百鬼園せんせいの随筆をつづけざまに数冊読んだ。こういうときは酒よりもなによりも、せんせいの随筆を読むに限る。 ≪執達吏と一緒にやつて来た債権者の金貸しが、あなたは独逸語の先生だから、独逸の本とか字引…

ある日。

……きょう買った一冊の詩集より ある日 会社をさぼった あんまり天気が よかったので 公園で 半日すごして 午後は 映画をみた つまり人間らしくだな 生きたいんだよぼくは なんて おっさんが喋っていた 俳優なのだおっさんは 芸術家かもしれないのだおっさん…

東峰夫さんのこと。

本が好きだ。本が好きだという人も好きだし、その人の言葉も同じように好きだ。 ≪よい本はじっくりと読む。すると思考は刺激をうけて誘発される。読んでは書き、書いては読む。それがよい本なのである。一週間、二週間と時間をかけて、読むこともする。 読む…

お茶わん一パイのメシ。

永島慎二の「フーテン(1972年 青林堂)」というまんがを読んでいたら、伍一という登場人物(走っている車から飛び降り、対向車に轢かれて死んでしまう)の書いた落書きにグッときた。 お茶わん一パイのメシ お茶わん一パイのメシを おれは食えなかったこと…

本を読む理由。

先日、本をつくる仕事をしている人たちとお酒を飲んでいて、なんで本なんか読むのか、というような話になってそこそこ盛り上がった。 それはもちろん本が好きだからに決まっているのだけれど、このあいだもこのブログに書いたように、本を読むとき、ぼくはも…

気分の悪いはなし。

宿酔いで気分が悪い。若い頃は深酔いすると朝っぱらから(ヘタをすれば夜中からずっと)気分が悪かったものだけれど、最近は筋肉痛のように時差攻撃をしかけられるようになった。そんなわけで昼過ぎくらいからどうにも気分が悪くて困っている。 さて、気分が…

ここんとこ読んだ本。

ここんとこ読んだ本で、心におちた本シリーズ(ってことは続くのかな?) 「貧の達人」東峰夫 著(2004年 たま出版) 「心の小筥」直井潔 著(1982年 神戸新聞出版センター) 「悲しきカフェ」河原晉也 著(1988年 沖積舎) 「ばれてもともと」色川武大 著(…

散木としての生き方。

何日か前にラジオを聴いていたら、作家で妖怪研究者の荒俣宏さんがとても興味深いはなしをしていた。うろ覚えだけれど、たしか荘子と散木のはなしだったはず。 ちなみに、この「散木」というのは、材木としては役に立たない木のこと。曲がっていたり、節が多…

ブコウスキーのこと。

はなったれだった頃、よくブコウスキーの小説を貪り読んでいた。 チャールズ・ブコウスキー。酔っぱらって、「くそったれ!」と悪態をつき、詩や小説を書いては、ファックする。読んでいると、ともかくバカバカしくて淋しくて少し苦い、なんともいえないへん…

こころが折れそうになったとき。

こんな仕事をしていると、将来のこと、というよりも老後のことをよく考える。 考えれば考えるほど、アカルイキモチではいられなくなる。「どうせ、みんないつかは死んでしまうのだから、好きなことやって、おもうように暮らしたほうがいい」なんて、年がら年…

波を切って漕ぎ続ける。

アメリカ文学の名作「グレート・ギャッツビー/スコット・フィッツジェラルド 著」を、ぼくは青い春の頃からずっと大好きでなんども読み返してきた。その魅力は中年となった今でも色褪せることなく、あいかわらず「なくてはならない大切な小説」として読み返…

古本いじり。

どうにも体調が戻りきらず、すっきりとした生活ができない。いちど出始めると止まらなくなる咳のために、ひどく身体が疲れている。そんなだから、酒もあまりおいしくない。少し控えているのでちょうどいいといえばちょうどいいのだけれど、控えめで貴重なそ…

仙台行き。

風邪をひいたところから持病の喘息が目を覚まし、ほとんど眠れないような日が何日か続いた。ただでさえ辛いのに、よりによってそのタイミングで仙台へ出張。ずっと楽しみにしていて、フリーの日を二日間作ってあれこれと計画していたのに、結局なにもできな…

モノに宿るココロ。

子どもが三人生まれ家族は五人となり、今のままではキュウクツになってきたので、クルマを買い換えることにした。さっそくクルマ屋さんへ行き、クルマの性能や価格のことなどについて丁寧に話を聞き、ずいぶんと時間はかかったのだけれど大体の目星がついた…

道標。

昨日から一泊だけして、おばあちゃんは帰っていった。 おばあちゃんと孫の一般的な関係の在り方というものがどんなものなのかよく分らないのだけれど、ぼくがおばあちゃん子であることを差し引いても、かなり特殊な関係にぼくらはあると思う。単純なルーツと…

溺れる虫。

むかし、ぼくは客のいない喫茶店を選んでよく通っていた。 客がいないというだけで、安くて不味いコーヒーがひどくうまく感じられた。よくわかりもしないのにJAZZを聴いたり、誰にも邪魔されず読書に集中できるのがよかった。そんな喫茶店の定位置で、買った…

佐藤泰志のこと。

三日くらい前から、佐藤泰志を読み返している。 周期的に読み返している作家、とつぜん思い出して読みたくなる作家というのがいる。べつにそうと決めているわけではないのだけれど、気がつくと何人かの作家がぼくの傍らにはいつもいる。ぼくは熱心ないわゆる…

本と愚か者。

無性に本が読みたくて、読みたくて、読みたくて、むむむむむ…という時がちょいちょいある。むやみやたらに読みたいからといって、むやみやたらになんでもいいというわけでもなく、溢れかえる本の前であれでもないこれでもないとチマナコになって悪戦苦闘した…

一病息災。

先日、職場で受けた定期健康診断の結果が返ってきた。赤字の数値が目立つ健康診断書の中の「総評」という欄を見て、おもわず椅子から転げ落ちそうになった。AからFまでの6段階評価で「E」とある。Eというのはどういう意味だろう?なんのメタファー?な…

あっという間のはなし。

あっという間に4月である。欠伸をしている間にもう4月。ついこの間まで蕾だった桜がもう咲いていて、しかも満開になっている。こんな調子でどんどん月日は流れていくのだから、きっと残りの人生だってあっという間なのかもしれない。じゃあ何か特別なこと…

福原希己江さんのライブ。

2012年3月25日 これで3回目となる、あいおい古本まつり。最終日の取りを飾ったのは、大好きな福原希己江さんのライブ。本当によかった。おもいきってお声かけしてよかった。めちゃくちゃよかった。お客さんからも、あいおいに住んでいるおばあちゃん…

古本まつりを終えて。

「あいおい古本まつり Vol,3」が無事終了いたしました。 ご来場いただきました皆さま、宣伝にご協力いただきました皆さま、本当にありがとうございました。 パシャパシャと写真を撮ってみたので、イベントのなんとなくな様子を簡単にキロクしておきます。 …

何気ない大事。

今月は本当によく庄野潤三を読んだ。先日もこのブログに書いたのだけれど、この人の書く小説は読むだけでほっこりと仕合せなキモチになれる作品ばかりなので、今月は特にそういうものを心が欲していたということだろうか。頭で考えてみる限りではよく分から…

iPadで古川緑波を読む。

一週間に一回以上は更新したいと思っているのだけれど、さして忙しいわけでもないのにバタバタしており、はたまたキモチがのってこなかったりで、ここのところブログの更新ができていない。ブログだけでなく、本と酒と家族のこと以外にあまりキモチが入らな…

意志を維持する。

直後と節目に寄せられる関心の半分でも その間の日常と復興に注げたら 創造はもっとすすむのかもしれない 「意志を維持する」 もっとも簡単で もっとも難しいこと だけど、だれにでもできること

庄野潤三という仕合わせ。

仕合わせは人に見せびらかすものではない。だけど人と共有することで増幅する仕合わせというのもあったりする。そこのところがとっても難しいのだけれど、他人と共有しようと思った仕合わせが逆に不快感を与えてしまうこともあって、空気を読み違えると時に…

年寄りの冷や水。

「年寄りの冷や水」ということわざがあるけれど、正確にその意味を云えるだろうか? 故事ことわざ辞典で調べてみると、以下のように書かれている。 ≪年寄りが強がって冷たい水を浴びたり飲んだりして無理をする言動。自分の年齢も考えずに無茶をすることは健…

ヒグラシ文庫にて。

はやま一箱古本市の実行委員で打ち合わせ、というか呑み会。どこがいいかねえ、という連絡に即答で「鎌倉のヒグラシ文庫さん」と返した。 葉山がきっかけではあるけれど、あまりそこだけにこだわらず、地元の湘南でブックイベントをやりたいよね、という同志…