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ハチドリのとまる場所。

大好きな本のこととか日々の考えなど、あれこれ。

ありのすさび。

   とつぜんな展開なのだけれど、実は闘病生活をはじめて約一ヶ月くらいになる。

   現在、入院しながらの治療をつづけているところなのだけれど、薬の副作用もあって、ご飯がぜんぜんおいしくない。というよりも、見たくもないし、嗅ぎたくもないというくらいにうんざりしている。

   食べることとは、生きることと同義である。食欲が低下してくると、その他の意欲も少しずつ低下してくる。なので、少しでも食べたいとおもえるものをできる限り口に運ぶ努力をしている。なんとなくそこにあるからボリボリ食っていたスナック菓子や、酔っ払った勢いで食っていたラーメンが懐かしい。

   生きるために食べようなんておもうことは、あたりまえな毎日のなかで、いたずらに食べていたころにはほとんどなかった。肉が食いたい、刺身が食いたい、酒の肴がほしい、ただそんなふうにおもって、食いたいものを食いたいように食っていた。でも、おもえばそれこそが生きるエネルギーに満ち溢れている証拠だったのだ。生きているのに慣れて、なおざりに暮らしながら食べていられるというのは、ほんとうに素晴らしい。

   入院中にガッツリ本でも読もうとおもっていたのだけれど、読みたい気持ちがつづかない。この機会にと、トルストイを数冊読み、積ん読のままになっていた「野呂邦暢小説集成」をまとめて2冊読んだ。いい調子だったところで投薬となり、そこから一気に意欲が低下した。食欲とともに。

   はやく食べれるようになりたい。食べたいは、生きたい、読みたい、だ。そんななんでもないようなことを目標にしつつ、ありのすさびを懐かしくおもう。

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